ツリバナは、日本の山野にも自生するニシキギ科ニシキギ属の落葉低木または小高木です。 秋の風情を感じさせる人気の木で、庭木や雑木の一つとしてよく植えられます。
5月から6月にかけて、直径1cmにも満たない小さな花を咲かせます。花は控えめですが、花後に実る緑色の実が、秋には赤く色づいて5つに裂け、中から朱色の種が顔をのぞかせます。その姿は印象深く、季節の移ろいを美しく伝えます。
ツリバナは乾燥が苦手です。本来のしっとりとした風情を保ち、健やかに育てるには、強い日差しを避けた半日陰の場所に植えるのがポイントです。
今回は、このツリバナの育て方をご紹介します。
もくじ
ツリバナの基本情報

| 学名 | Euonymus oxyphyllus |
| 科名・属名 | ニシキギ科・ニシキギ属 |
| 分類 | 落葉低木(または小高木) |
| 原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
| 花色 | 淡い緑色〜淡いピンク |
| 開花時期 | 5月〜6月 |
| 樹高 | 2m〜6m |
| 耐寒性 | 強い |
| 耐暑性 | 強い |
| 日照 | 半日陰(日向でも育つが強い日差しと乾燥は苦手) |
ツリバナの育て方

栽培環境
ツリバナは乾燥を嫌うため、栽培場所は強い日差しを避けた半日陰が最適です。
土壌は、水はけと水もちのバランスが取れていることが重要です。植え付け場所には腐葉土や堆肥を混ぜ込み、土が極端に乾かないよう工夫しましょう。
水やり
植え付け後の1年くらいは、土の乾き具合を見ながら定期的に水やりをしましょう。
根付いた後は降る雨のみで大丈夫ですが、夏場に日照りが続いて乾燥するようなときは水やりをしましょう。

肥料
冬に寒肥として株の周りに緩効性肥料を施します。
植え付け
適期は厳寒期を除く落葉中になります。
根鉢の倍ほどの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで植え付けましょう。植え付け後はたっぷりと水やりをします。
植え付けてから1年くらいは、土の乾き具合を見ながら定期的に水やりをしましょう。

剪定
自然な樹形が美しいので、落葉期に混み合った枝を取り除く程度で十分です。
夏越し
暑さに強いですが、乾燥は苦手です。日照りが続いて乾燥するようなときは水やりをしましょう。
日当たりが良い場所に植えた場合は、根元をバーク堆肥などでマルチングしておくと乾燥防止になります。
冬越し
冬は落葉します。寒さに強いので特別な対策はいりません。
病害虫
特には見られません。

増やし方
挿し木や種まきで増やせます。
挿し木
親木の性質をそのまま受け継ぎたい場合に適した方法です。時期は6月から7月が最適です。
1. 今年伸びた元気な枝を、長さ10〜20cmほどに切り取ります。枝の先端から少し下の、やや固くなった部分(半熟枝)が最適です。
2. 切り口を斜めに切り、下の葉を取り除き、上の葉を2〜3枚残します。斜めに切ることで吸水面積が広がり、発根しやすくなります。
3. 水を入れた容器に30分〜2時間ほど浸して水揚げを行います。挿し穂に水を吸わせることで、乾燥を防ぎます。
4. 切り口に発根促進剤を薄く塗布します。(必須ではありませんが成功率が上がります)発根を促し、病気を予防します。
5. 赤玉土の小粒や鹿沼土、または市販の「さし芽種まきの土」など、清潔で水はけのよい土に挿します。雑菌の少ない土を使用し、発根を妨げないようにします。
6.明るい日陰で管理し、土が乾燥しないよう、水やりをします。
種まき
秋に実る種を利用して増やす方法です。発芽までに時間がかかる(休眠期を経て2年目以降に発芽することがある)ため、気長に管理する必要があります。
10月〜12月上旬(種を採取した直後)採り蒔きが基本です。乾燥させず、自然の休眠期を経験させることが重要です。
1. 実が赤く裂け、朱色の種が顔を出したら採取します。完熟した種を使います。
2. 種の周りの朱色の仮種皮(ぬるぬるとした部分)を丁寧に取り除き、水洗いします。仮種皮には発芽を抑制する物質が含まれていることがあるためです。
3. 種まき用の清潔な土(赤玉土の小粒や市販の「さし芽種まきの土」)を入れた鉢や箱にまきます。雑菌を避け、発芽に適した環境を用意します。
4. 土の被せ方はごく薄くします。土が深すぎると発芽しにくくなります。その後は戸外の半日陰に置き、土を乾燥させないように管理します。
*種の休眠を打破するため、冬の寒さに当てる必要があります。発芽早ければ翌春、遅いと翌々春以降に発芽します。気長に待ちましょう。ツリバナを含むニシキギ科の樹木は発芽に時間がかかるのが特徴です。
我が家の栽培ストーリー
2025年2月16日、馴染みの園芸店にお願いして生産者から仕入れてもらいました。
1.8mくらいの株立ちで、価格は税込24,800円でした。

2月16日撮影
植え付けた場所は、家の東側、駐車場と家の間の通路です。ここは午前中しか日が当たらない半日陰の場所。庭の中では特等席と言える場所です。
枝が四方に広がって、通路の邪魔になるので、麻紐で枝同士を縛って広がらないようにまとめています。
植え付け後は、週に1回のペースで水やりをしていました。夏は雨が降らなかったので、土の乾き具合を見ながら頻繁に水やりしていた記憶があります。

なんとも言えない可愛らしいツリバナの花
5月になると1cmに満たない小さな花を咲かせました。花の色は淡い緑色〜淡いピンク色。楚々とした雰囲気が可愛いですよね。

コロンとしたツリバナの実
花の後には緑色の実ができます。この写真は8月に撮影したもの。ちっちゃなカボチャのようで可愛いですよね。

10月に入ると、急に実が赤く色づき始めました。緑色の実と赤い実が入り混じった景色も素敵です。

赤く色づいた実は、数日で5つに裂け、中から朱色の種が顔をのぞかせます。この個性的な実こそが、ツリバナ最大の魅力。そのユーモラスな姿は、まさに愛らしいの一言です。

11月3日撮影 葉の色が変わり始めたツリバナ
11月に入ると気温がぐっと下がって、日がよくあたる枝の葉が少しずつ紅葉し始めました。
ツリバナの紅葉は、ニシキギのような主役級の華やかさはないと聞きます。しかし、紅葉そのものよりも、5つに裂けた鮮烈な朱色の実とのコントラストが、独特の風情を醸し出すようです。この先、この木がどのような色に景色を染めるのか……成長を見守る楽しみがある樹木です。
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