秋の庭に風情を添えるシュウメイギク(秋明菊)の魅力と育て方

シュウメイギク

風が心地よく吹き抜ける季節。あなたの庭をそっと優雅に彩ってくれるのが、シュウメイギク(秋明菊)です。風に揺れるたおやかな姿は、庭にはんなりとした和の風情をもたらします。

「菊」という名前がついていますが、実はアネモネの仲間。長く伸びた茎の先に、白やピンクの可憐な花を咲かせます。基本は一重咲きですが、品種によっては豪華な八重咲きも楽しめますよ。

この花の最大の魅力は、その育てやすさ。見た目の繊細さからは想像できないほど丈夫で、日陰や半日陰でも元気に育ちます。一度植えれば、地下茎で年々増え、手をかけずとも毎年秋には美しい花を咲かせてくれます。

和風・洋風問わずどんな庭にも自然になじみ、秋の終わりまで長く楽しめるシュウメイギク。忙しい日々の中でも、手間をかけすぎずに季節の移ろいを味わいたいガーデナーに、ぜひおすすめしたい花です。丈夫なので初心者にもおすすめです。

今回は、そんなシュウメイギクをもっと上手に、もっと手軽に楽しむための育て方を詳しくご紹介します。


🌿 シュウメイギク(秋明菊)の特徴

八重咲の秋明菊の花

学名 Anemone hupehensis var. japonica
科名・属名 キンポウゲ科・イチリンソウ属
分類 耐寒性多年草
原産地 中国
花色 白、ピンク
開花時期 9月〜11月
草丈 50cm〜100cm
耐寒性 強い
耐暑性 強い
日照 日向〜半日陰(夏は直射日光が当たらない場所)
用途 鉢植え、庭植え

🔸 魅力ポイント①秋のやわらかな光の中で、細い茎の先にふんわりと咲く花。一見はかなげなのに、どこか凛とした存在感がある。庭に一株あるだけで季節感を添えてくれる。

🔸 魅力ポイント②半日陰でもよく咲き、寒さにも暑さにも強く、植えっぱなしでも毎年きちんと花を咲かせる。

🔸 魅力ポイント③見た目の繊細さに反して、とても丈夫。ローメンテナンスでも年々大株になる。


🌱シュウメイギク(秋明菊)の育て方

秋明菊の白い花

9月の庭で咲く八重咲きのシュウメイギク

🔆 日当たり・置き場所

日向を好むが、乾燥と夏の直射日光は苦手です。そのため、明るい日陰で育てるのが最適です。

  • 地植えは一年を通して半日陰の場所や、樹木の下などが向いている。

  • 鉢植えは、春と秋は日当たりの良い場所。夏は半日陰が最適。冬は軒下などが安心。

🪴 土と鉢

  • 乾燥を嫌う一方で、水はけが悪いと根腐れを起こしやすいという側面がある。

  • 植え付けの際は、腐葉土などを十分に混ぜて、水はけと水もち(保水性)の両方を兼ね備えた土にしてあげることが大切。

  • 弱酸性の土を好み、アルカリ性の土壌では生育が悪くなる。

  • 鉢植えは市販の草花用培養土で問題なく育つ。

  • 鉢はポット苗の2回り大きめの深さのある物を使う。

シュウメイギクの花

💧 水やり

シュウメイギクは乾燥が苦手です。

  • 地植え:根付いてしまえば、降る雨だけで大丈夫。夏に日照りが続き、しおれるようなときは水やりをする。

  • 鉢植え:土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをする。

🌸 肥料

  • 春(3月ごろ)に緩効性化成肥料を少量与える。

🪏植え付け・植え替え

  • 植え付け:春か秋に、水はけと水もち(保水性)の良い、弱酸性の肥沃な土に植え付ける。

  • 植え替え:シュウメイギクは生育旺盛で根張りが強いため、鉢植えでは根詰まりを起こしやすい

    鉢植えは、生育が悪くなるのを防ぐため、毎年または1~2年ごとに春か秋に植え替え(株分けを兼ねる)を行う。

    地植えは、株が混み合ったら適度に間引きや株分けをする。間引きはいつでもできる。株分けは春か秋に行う。

白いシュウメイギクの花

✂️手入れ

  • 咲き終わった花茎は株元で切り取る。花後のふわふわとした種も可愛いので、そのまま楽しむのもおすすめ。

  • 枯れ葉や傷んだ葉は株元で切り取る。日当たりが良い場所に植えると、夏に葉が傷んで汚くなることがある。そのときは、傷んだ葉を切りとっておくと、また新しい芽が出てくる。

  • 地植えにすると、地下茎を伸ばしてどんどん増えていく。勢いが良すぎて他の植物の生育を妨げる場合は、適度に間引きや株分けをする。

🌿夏越し

  • 乾燥は苦手なので、水切れに注意する。晴天が続くときは地植えにも水やりをする。

  • 地植えはマルチング(株元に腐葉土やバークチップ、ワラなどを敷く)をすることで、地温の上昇を防ぎ、さらに土の乾燥も抑制できるため、夏越しがしやすくなる。

  • 鉢植えは半日陰で管理する。

🍂冬越し

  • 地植えはマルチング(株元に腐葉土やバークチップ、ワラなどを敷く)をすることで、凍結防止になる。

  • 鉢植えは軒下に移動して、水やりは控えめにする。

シュウメイギク

 

🐛 病害虫

  • 春から秋の間はアブラムシやハダニが発生することがある。

🌱増やし方

種まきや株分けで増やせます。放任でも地下茎でよく増えます。こぼれ種でも増えます。

  • 株分け:春と秋が適期。

  • 種まき:春(3月〜4月ごろ)が適期。発芽適温は20度前後。


🌟シュウメイギク(秋明菊)を育てる際のポイント3つ

秋明菊の白い花

9月の庭で咲く八重咲きのシュウメイギク

シュウメイギクは丈夫な植物ですが、美しい花を毎年咲かせるためには、以下の3点に気をつけましょう。

  • 夏の直射日光と高温を避ける

    • 明るい半日陰が理想です。特に株元を日陰にして、夏の強い直射日光(西日など)を避けましょう。

    • マルチング(腐葉土などを敷く)で地温の上昇と乾燥を防ぐのが効果的です。

  • 水はけと水もちの良い土壌

    • 乾燥を嫌いますが、水はけが悪いと根腐れします。水はけが良く、腐葉土などを加えた肥沃な弱酸性の土を用意しましょう。

    • 乾燥させると葉が枯れやすいため、夏の水切れに注意が必要です。

  • 根詰まり・増えすぎの管理

    • 生育が旺盛で根がよく張るため、鉢植え毎年(または1~2年ごと)植え替えを行い、根詰まりを解消しましょう。

    • 地植えで増えすぎた場合は、適度に株分けや間引きをして勢いを調整します。

 


🌸我が家での栽培記録

シュウメイギクの花

2024年の9月

2024年

2024年の春、友人から分けていただいた小さな秋明菊の株を、庭の南側フェンス沿いに植え付けました。

この場所は秋から春はフェンスの陰になるけれど、夏はほぼ一日中日当たりが良く、土が非常に乾きやすいという厳しい環境です。そのため、夏場の水やりは欠かせません

そんな環境でしたが、すくすくと成長し、その年の9月には写真のようにたくさんの花を咲かせてくれました。


2025年

2025年は、梅雨というものがほぼなく、6月から30度を超える猛暑日。雨もほとんど降らず、庭の土は乾き切っていました。

そのため、一日一回の水やりでは水切れに追いつかず、7月の終わりには葉がひどく傷んでしまいました。

シュウメイギクの葉

8月6日 株元の綺麗な葉のみ残して、傷んだ葉は切り取りました

そこで、株を救うため、8月に入ったところで古い葉を全て切り取るという大胆な手入れを試みました。

通常、多くの植物は真夏に地際で刈り込むと弱ってしまいますが、秋明菊はこの手入れに耐え、水分の蒸散を抑えることで水切れを防ぎ、下から新しい芽を伸ばし始めました。

シュウメイギク

8月19日

そして2週間後、写真のように成長しました。

花茎も上がってきて、蕾もついています。

その後は新しい葉をどんどん茂らせ、大株になり、9月中旬から花を咲かせ始めました。

白いシュウメイギクの花

9月23日

 シュウメイギクの白い花

9月30日

夏に切り戻した時には、想像できなかったような景色が広がって、嬉しくなりました。

シュウメイギクは、見た目の繊細さに似合わずとても丈夫で、手をかけなくても毎年きれいに咲いてくれる頼もしい植物です。

育てやすく、長く付き合える花として、ぜひあなたのお庭にも迎えてみてはいかがでしょうか。静かな季節の移ろいを、シュウメイギクがそっと教えてくれるはずです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事が少しでもお役に立てると嬉しいです。

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