植物を育てているとよく目にする害虫の一つがアブラムシです。アブラムシは、ほとんどの植物に発生し、生育に悪影響を及ぼします。環境によって異なりますが、春を迎える頃には活動を開始します。そろそろ対策を始めないと、気づけばアブラムシがびっしり…、なんてことにもなりかねません。アブラムシとはどのような虫なのか?そして、どのような防除方法があるのか?今回は、アブラムシの生態と防除についてご紹介します。
もくじ
アブラムシの特徴
アブラムシは体長1〜3㎜程度で、色は黄緑色から茶色や黒っぽいものまで多様ですが、一番よく見かけるのは黄緑色のものです。
発生しやすい時期は4月〜11月で、特に4月〜6月と9月〜10月に多く発生します。
アブラムシの被害
アブラムシは主に植物の新芽やつぼみに群生し、植物の汁を吸って生育を阻害します。汁を吸われた植物は、元気がなくなるだけでなく、アブラムシの排泄物がすす病を誘発し、葉が真っ黒になったり、縮れたりして見た目を損ねます。
また、アブラムシはウイルス病を媒介することがあります。ウイルス病を治療する農薬はなく、感染した植物は処分するしかありません。
アブラムシの繁殖力
アブラムシはメスだけで単為生殖によって増えることができます。この子供は、生まれたときから次世代の子供を体内に宿し、わずか2週間ほどで成虫になり、子を生みます。
このように、アブラムシはメスだけで短い周期で爆発的に増殖するため、気づいたときには大量発生していることが多いです。
また、アブラムシは寒さに弱いため冬を越すことができません。そこで秋になるとオスを生んで交尾し、卵を産み、卵の状態で越冬します。
さらに、羽を持つアブラムシを生むこともあります。羽のあるアブラムシは飛翔できるため、新たな植物を求めて移動します。
アブラムシの天敵と仲間
アブラムシの天敵としてよく知られているのは、テントウムシとその幼虫です。特にナナホシテントウやナミテントウは、アブラムシを積極的に捕食します。また、ヒラタアブの幼虫もアブラムシを食べる天敵の一つです。
しかし、アブラムシをこれらの天敵から守る存在もいます。それがアリです。アブラムシは、お尻から甘露と呼ばれる甘い液体を分泌し、アリはその甘露を求めてやって来ます。アリは甘露を得るために、アブラムシの天敵が近づくと攻撃して追い払います。その結果、アリがアブラムシを天敵から保護するような関係が生まれるのです。
アブラムシの防除法
アブラムシは大量発生してしまうと駆除が困難になります。そのうえ、アブラムシがウイルス病を媒介し、植物が感染してしまうと、その植物を処分するしかありません。
したがって、アブラムシ対策では防除(予防と駆除)が最も重要です。
アブラムシの防除には次のような方法があります。
①窒素分の多い肥料を与えすぎない
アブラムシは植物の窒素からできるアミノ酸を好みます。
つまり、窒素分の多い肥料を与えていると、アブラムシが寄り付きやすくなってしまいます。
②黄色いシートでアブラムシを捕まえる
アブラムシは黄色いものに寄ってくるので、この習性を利用して黄色い粘着シートでおびき寄せて捕まえます。
この黄色いシートはコナジラミ類、アザミウマ類にも効果があります。
③忌避剤を利用
忌避剤とは、害虫を植物に寄せ付けないようにするためのものです。具体的には、木酢液やニームオイルなどが挙げられます。
これらを適切な濃度に希釈して植物に散布することで、アブラムシが寄り付きにくくなります。忌避剤は、害虫が発生する前から定期的に散布するのが効果的です。
木酢液やニームオイルのような忌避剤は、規定の濃度を守って使用すれば植物に害を与える心配が少ないため、安心して使用できます。
*木酢液はかなり臭いので、ニームオイル(レモングラスの香りがつけてあるもの)が個人的にはおすすめです。
④殺虫剤を使う
植え付け時にあらかじめオルトラン粒剤を施して、植物にやってきたアブラムシが増える前に駆除します。
*同じ殺虫剤を続けて使っていると、薬剤に耐性ができて効かなくなります。できれば①〜③までの方法で防除したいところです。
発生してしまったアブラムシにはベニカナチュラルスプレーがおすすめです。
ベニカナチュラルスプレーは天然成分でできた殺虫殺菌剤で、薬剤に耐性が出来ないため何度でも繰り返し使えるのが特徴です。
まとめ
アブラムシ対策では防除が最も重要です。
アブラムシは植物の新芽や蕾のような柔らかい部分を好むので、普段からそこをよく観察していると早めに見つけることができます。また、アブラムシは成虫になるまでに4回脱皮します。この時の白い小さな抜け殻で気付くこともできます。
もし発生してしまっても初期段階で見つければ駆除も楽です。お庭の大切な植物を楽しむために、そろそろアブラムシの防除を始めましょう。
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