ヤマコウバシは、冬でも枯れ葉が落ちにくいのが特徴で、「落葉しない落葉樹」として知られています。
秋には葉が美しいオレンジ色に紅葉し、熟した実には辛味があることから「ヤマコショウ」とも呼ばれています。枝を折ったり葉を揉んだりすると、かすかに心地よい香りが漂うのも魅力です。
もともとは庭木として一般的ではありませんでしたが、雑木ブームの影響で人気が高まってきました。私自身も以前から気になっていた木で、2年前に庭に植える機会に恵まれました。
今回は、ヤマコウバシの特徴や育て方、そして我が家での栽培記録についてご紹介します。
もくじ
ヤマコウバシの基本情報
| 学名 | Lindera glauca |
| 別名 | ヤマコショウ、ジョウガノキ、モチギ |
| 科名・属名 | クスノキ科・クロモジ属 |
| 分類 | 落葉低木(枯れ葉は春まで残る) |
| 原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
| 花色 | 黄緑色(小さくて目立たない) |
| 開花時期 | 3月〜4月 |
| 耐寒性 | 強い |
| 耐暑性 | 強い |
| 日照 | 日向〜半日陰 |
ヤマコウバシの特徴

ヤマコウバシは、紅葉の美しさと、枯れ葉が春まで枝に残る独特の性質が特徴の落葉樹です。
葉は長さ約7cm、幅約3cmの長楕円形で、揉んだり枝を折ったりすると、かすかに生姜のような香りが漂います。
3月から4月にかけて新芽の付け根に小さな黄緑色の花を咲かせ、10月ごろには直径8mmほどの実が黒く熟します。
秋の紅葉は深みのある独特のオレンジ色で、思わず息を呑むほどの美しさです。
晩秋には葉がすっかり枯れても枝から落ちず、冬の間じゅう残り続けます。そして春に新しい葉が芽吹くと、入れ替わるようにして枯れ葉が落ちていきます。このことから「春まで落ちない」縁起の良い木とされ、合格祈願のお守りとしても用いられています。
なお、ヤマコウバシは雌雄異株ですが、日本には雌株しか分布していません。
ヤマコウバシの栽培記録
植え付け

枯れ葉が残ったヤマコウバシ
4月3日、まだ枯れ葉をつけたままのヤマコウバシを、建物の西側に植え付けました。
この場所は午前中は建物の陰になりますが、午後は日没まで日が当たります。年間を通して西日があたり、特に夏場は日照時間が長いため、地面は非常に乾燥しやすい環境です。
よく乾く場所なので、植え付け直後から梅雨の時期までは週1回ほどのペースで水やりを行いました。梅雨期は降雨に任せ、夏場は3日に1回程度、毎回しっかり水を与えました。気温が落ち着いてきた9月下旬以降は、水やりを控えています。
春から初夏

ヤマコウバシの新葉
葉の展開と花の開花、どちらが先だったのか記憶は曖昧ですが、よく見なければ気づかないほど小さな黄緑色の花が咲きました。その後は枝数が増え、青々した葉が茂り、ヤマコウバシが良い目隠しになってくれていると感じています。
夏の西日の影響は?
西日の影響はほとんど気になりませんでした。
今年は記録的な猛暑でしたが、毎日西日が当たる場所でも、葉焼けといえば一部の葉が暗い緑色になった程度です。
ネットでは「夏の西日に当たると葉焼けして紅葉が汚くなる」と書かれていたので心配していましたが、実際には大きな葉焼けもなく、紅葉もきれいなままでした。
秋の紅葉

11月3日 きれいな紅葉
10月下旬から紅葉が始まりました。他には見られない特徴的なオレンジ色で、とても美しかったです。
11月中旬になると葉の色が落ち着き、紅葉のピークは過ぎたように感じました。それでもまだ十分にきれいです。

11月中旬のヤマコウバシ
香り
ヤマコウバシは、漢字で「山香ばし」と書きます。
その名のとおり「山の香ばしい木」という意味で、葉をもんだり枝を折ったりすると、ほのかに良い香りがすることから名付けられたとされています。
では実際はどうかというと、「言われてみればそうかな」という程度で、触れただけでは香りは感じられません。
我が家では目隠し目的で植えているため剪定はしていませんが、よく分枝して茂ってくるので、目隠し以外の用途なら適度に整えた方が良さそうです。
ヤマコウバシを植えて丸2年になりますが、この木を選んで本当に良かったと感じています。
丈夫で手がかからず、冬の枯れ姿にも趣があり、春から夏には青々とした葉が茂り、秋には紅葉がひときわ美しく輝きます。さらに、1年を通して目隠しとしても役立ってくれています。
「成長が遅い」とよく言われますが、我が家では2年でおよそ60cmほど伸びました。
ヤマコウバシの育て方

4月8日 ヤマコウバシの芽吹き
栽培環境
日当たり:日向〜半日陰まで育ちます。西日が当たる場所でも問題ありません。
土:水はけの良い土を好みます。
水やり
植え付けてから半年くらいは週1回程度水やりをしましょう。梅雨時期は降雨に任せ、乾燥しやすい夏は3日に1回程度しっかり水やりをします。
その後、根付いてしまえば基本的に自然に降る雨だけで大丈夫です。ただし、夏に日照りが続くようなときは、水やりが必要になる事があります。
植え付け
植え付け適期は冬です。根鉢よりひと回り大きい穴を掘り、掘り上げた庭土に堆肥や腐葉土を混ぜ込んで植え付けましょう。

11月中旬のヤマコウバシ
肥料
基本的にはあまり必要ありません。成長をもう少し促したい場合は、春の芽吹きの前に緩効性の肥料を与えましょう。
肥料は窒素、リン酸、カリが同じ割合で配合されたものがおすすめです。根元から離れたところ(伸びた枝先の下)に施しましょう。
剪定
目隠し用途なら不要です。形を整えたい場合や込みすぎる場合は、春や秋に軽く剪定すると良いです。
よく分枝して茂るので、不要な枝は透かすように切り取りましょう。
夏越し・冬越し
暑さ寒さに強いので、特別な対策は不要です。
病害虫
病気や害虫はほとんど見られません。
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